■ 下準備

スキンにしたい絵を手にしたら、あなたはまず何をしますか?
いきなり切り出し始めるのはアウト。私は先に下準備をいろいろとしておきます。

まず、なにはともあれjpgノイズの除去をします。.pngや.bmpファイルなどなら問題ありませんが、
.jpgは劣化するものなので、ひどい状態のものもあります。(特に赤色にノイズが目立ちます)
スキンの大きさにまで縮小するとはいえ、できるだけ綺麗にしておくに越したことはありません。
PaintShopProには「JPEG劣化の除去」という機能があるので、適度に修復しましょう。
もちろんやりすぎると本来の輪郭線などもガタガタになるので、数値は調節してください。

また、紙媒体をスキャンしたものは(モアレとはちがう意味で)色が均一でなく、汚く見えます。
そういうときは「輪郭以外をぼかす」が有効です。にじませるペンでグリグリしてもいいけど
うっかり気をぬくと輪郭線までぐりっとやっちゃうので、あまりお薦めできません。

そして試しに、スキンにしたい大きさに縮小してみます。
大きさが変わると見え方もちがってくるので、縮小するとどうなるか先に確認するのです。
例えば鼻や口の線がほとんど見えなくなってしまったり、逆に線がうるさくなってしまったり、
その辺は絵によってさまざまです。縮小してから直すより、先に手を加えてから縮小する方が
ごまかしが効きますので、この時点か切り抜いてすぐの時点でやっておきましょう。


■ キャラの切り抜き方

切り抜き方については、よく壁紙サイトなどでパスを使って切り抜く手法が紹介されてます。
なので、PhotoShopを使ってる人に聞くとそのように答える人が多いようです。
PaintShopProでも似たようなことはできますが、同じ説明をしてもしょうがないので、
スキン用に切り抜いている私のやり方を紹介します。

基本的にキャラの絵などをスキンにする場合、元絵よりも寸法がかなり小さくなります。
なので先に大きい状態のまま切り抜き、あとでスキンの大きさに縮小することができるぶん、
それほど丁寧にきっちり切り抜かなくても、ごまかしが効きます。

※使う絵がスキンとあまり変わらない小さい寸法のときは、一度大きく拡大してから切り抜きます。

私は背景が単調でキャラの輪郭線とはっきり区別がつく場合は、「塗りつぶし」を使ってます。
「比較範囲」を「RGB値」にして「許容誤差」を適度に調節し、一気に単色で塗りつぶし、
その塗りつぶした色を「許容誤差」0 の「自動選択」で選択して「削除」します。
塗りつぶすときの「許容誤差」は、輪郭線ちょうどで切り抜ける数値になるよう調節します。

※この「塗りつぶし」でのやり方は、切り抜き方 02 を見てください。

輪郭線が単色で太くなっている場合は、許容誤差の数値を低めにして輪郭線自体を選択し、
背景から切り離すようにするといいでしょう。輪郭線の外側に背景の色が残るのを防げます。

背景が複雑な場合は「自由選択ツール」を使います。「選択の種類」を「フリーフォーム」にして
輪郭線上をクリックして選択しながらぐるりと一周し、選択範囲を反転して削除します。
この方法は輪郭線を手作業で選択するので、精度は自分の根気次第になります。

コツとしては「輪郭線を残す」のではなく、「輪郭線を一皮剥く」ぐらいの勢いでいくといいです。
輪郭線の外側は背景と干渉しているので、丁寧に切り抜いたつもりでも汚く見えてしまいますから。
そのかわり、削ったぶん切り抜いたフチの輪郭線が細くなるので、処置しなければなりません。
一番手軽な方法は、切り抜いたあとレイヤーを複製して下のレイヤーをほんの少しぼかします。
すると切り抜いたフチの外側に、下のレイヤーがぼやけたぶんの輪郭線が見えるようになります。
太さが不足していたら、ぼかしたレイヤーを複製して重ねましょう。さらにぼかしても逆効果です。

他にも、選択範囲を反転していきなり切り抜くのではなく、新しく用意した別のレイヤーで
切り抜く範囲を黒く塗りつぶすようにして、マスクレイヤーとして使う方法もあります。
こうすると復旧や修正が簡単にできるのでお薦めです。いきなり切り抜くとやり直せませんから。
また、このマスクレイヤーに影をつければ、切り抜く境界を透過させることもできて便利です。

詳しいやり方は壁紙サイトなど、例えば.VXD MASHRooMで詳しく紹介されてます。
LUMINOTICLEというコンテンツでとてもわかりやすく書かれてますので、参考にしてください。
追記:サイトが更新されたのか、いつのまにかメニューに見当たらなくなってしまいました。
失礼かと思いますが、直接リンクさせていただきます。問題がありましたらご連絡ください。>

なお、小さいスキンに使うのですから、縮小してきれいに見えればいいということを忘れずに。
手間をかけても時間の無駄になりがちです。私はたいてい、「塗りつぶし」で切り抜いたあと、
髪の毛などの鋭く切り込まれる部分を手作業でちょいちょいと切り抜く程度にしています。


■ 縮小から仕上げまで

絵を切り抜いたあとは、スキンの大きさに縮小します。
縮小すると細い線が消えてしまうときは、縮小前にぼかしてみたり描き足してみたり、
線がつぶれるときはシャープをかけてから縮小してみたり、一度に縮小(100%→33%)しないで
少しずつ縮小(100%→50%→66%)してみたり、途中でシャープやぼかしをかけてみたり、
はたまた大きいサイズのときに輪郭線を抽出して太くしておいたりするなど、
いろいろ試行錯誤して、できるだけきれいに見えるように縮小しましょう。
(※この手法は初期のもので最近はほとんどやってませんが、参考までに書き残しておきます)

でも最近は、縮小したあとレイヤーを複製して重ね、上のレイヤーにシャープをかけてから
不透明度を40〜70%ぐらいにします。透過させて下のレイヤーを見えるようにするのは、
スキンの大きさではシャープの効果がかかりすぎてキツイ絵になってしまうからです。
こうすると縮小することでぼやけてしまった絵も、適度にすっきりはっきり見えるようになります。
ただしそのままでは絵のフチまわりが浮いてしまうので、シャープをかけた上のレイヤーの絵は
透過しているフチまわりを少しずつ透過するように消して、下の絵と馴染むようにしています。

縮小すると輪郭線が細くなって弱々しい絵になってしまう場合は、縮小する前にレイヤーを複製し、
上のレイヤーに「エッジ効果」→「拡散 (暗)」をかけてから不透明度を適度に調整して縮小します。
不透明度の数値は、絵や縮小率によって全然ちがってくるので、試行錯誤を繰り返して決めます。
この手法は特に高解像度で描かれた、輪郭線が細い絵に有効です。

なお、レイヤーが複数ある状態より、一枚のレイヤーに結合してからの方がきれいに縮小できます。
レイヤーに対応した形式のまま一度保存しておき、レイヤーを全て結合してから縮小しましょう。
絵の背景に別の色で影やボカシをつける場合は、そのまま縮小すると髪の毛の先端などといった
透過した細い部分と混じりあって汚くなってしまうので、縮小してからつける方がいいです。

そして最後に背景のレイヤーを白や黒にして、絵のフチに目立つドットがないか確認します。
不透明度や色がなだらかに変化していないと浮いて見えますから、ドット単位で修正します。
不透明度が極端にちがって目立つ場合は、不透明度を適度に調整した消しゴムをかけましょう。
色がちがって目立つ場合は、付近からコピーして貼り付け、不透明度を合わせるのが簡単です。

フチの処理ができてないと汚く見えますが、きっちり切り抜いてあれば手間はかかりません。
汚く見えてしょうがない‥‥というほどでしたら、切り抜きなおしたほうが早いでしょう。


■ QuickChangerスキンの場合

さて。そうして縮小した絵は、絵のフチまわりがなだらかに少しずつ透過しています。
「色の選択ツール」で確認してください。不透明度が255から少しずつ減っているはずです。
RainmeterやRainlendarは透過が扱えるのでこのままスキンに使ってもかまいませんが、
QuickChangerは透過が扱えないので、透過している部分を不透明にしなければなりません。

QuickChangerに使う場合は、ここからが重要です。

まず、ほとんど目に見えないような、不透明度が低い部分を取り除きます。
「塗りつぶしツール」で「比較範囲」を「不透明度」にし、許容誤差を調整して
(絵にもよりますが、私の今までの経験ではだいたい80〜120ぐらいでしょうか)
透過していてもはっきり見える部分が残る程度に、RGB値 255,0,255 で塗りつぶします。
この塗りつぶした部分が、QuickChangerの透過色部分となります。

髪の毛など細く薄い部分が塗りつぶされるときは、そこだけ別に処置してください。
見えにくい場合は、後ろに一枚白か黒のレイヤーを置いてみるといいでしょう。


つぎに、塗りつぶされなかった、少しだけ透過した部分を処置します。

まず、無色透明のレイヤーを一枚、いまあるレイヤーの後ろに用意します。
そして少し透過している部分の色と同系色の少し薄い色で(色によっては濃い色で)
上のレイヤーの輪郭線をなぞるように、下のレイヤーを塗っていきます。

もちろん場所によって色は変えますが、あまり深く考えなくてもいいです。
当サイトのセイバースキンの場合、髪の毛の明暗で3色。シャツの明暗で2色。
スカートの明暗で2色。肌の明暗で2色‥‥ぐらいで塗り分けました。
タマ姉スキンはもっと少なかったです。あれは赤ばっかりですからw

場所によって、下に置く色は明るめにしたり暗くしたり薄くしたり濃くしたり、
塗りながら‥‥調節しながら‥‥やり直しながら‥‥それでも適当に。
太目のペン(ぼかし0、ドット10とか20ぐらいの大きさ)でぐりぐり塗ります。
もちろん細かいところは細めのペンを使いましょう。

そうしてひととおり輪郭線に沿って下のレイヤーに色を置いて2枚のレイヤーを重ねると、
中途半端な透過がなくなり、きれいに切り抜けて見えるようになったと思います。

そして最後に、上のレイヤーで 255,0,255 に塗りつぶした背景の部分を白や黒に変えて
不自然なところがないかチェックし、問題がなければレイヤーを一つに合成して完成です。


この方法は慣れればすごく簡単に、短時間できれいに切り抜けます。
セイバーとタマ姉のスキンを作っているときに、試行錯誤して思いつきました。
その前の、知夏、Alice、アクエリアンエイジは、時間をかけてドット単位で作業したので、
場所によっては微妙にドットの色を変えないと不自然だし‥‥と、とにかく苦労しました。
Aliceなんて全然切り抜き気に入ってないのに、この手法の三倍以上時間がかかったし‥‥
あの苦労はなんだったのかとw

※文章ではわかりにくいのでキャプチャ絵も用意しました。・QCスキン用処理を見てください。


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